長編デビュー作「ベルヴィル・ランデブー」で世界的に高い評価を受けた
シルヴァン・ショメ監督が、フランスの喜劇王ジャック・タチが娘へ遺した
幻の脚本を、タチをそのまま主人公のキャラクターとしてアニメ化した
ハートフル・ヒューマン・ストーリー。
時代遅れの老手品師と純真な少女との切なくも美しい心の交流を、
ノスタルジックかつペーソスあふれるタッチで綴る。
(allcinemaさんより抜粋)
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1950年代のパリ。かつての人気も今は昔、初老の手品師タチシェフは、
寂れた劇場や場末のバーを巡るドサ回りの日々。
そんなある日、スコットランドの離島を訪れたタチシェフは、ひとりの
貧しい少女アリスと出会う。手品師を何でも叶えてくれる“魔法使い”と
信じ、島を離れる彼に付いてきてしまうアリス。
やがて、言葉も通じないながらも一緒に暮らし始めた2人。
落ちぶれた自分を尊敬の眼差しで慕うアリスに、いつしか生き別れた娘の
面影を重ね、彼女を喜ばせるべく魔法の呪文とともにプレゼントを
贈り続けるタチシェフだったが…。
(allcinemaさんより抜粋)
当初は観る気のなかった作品でしたが、先日『ファンタスティックMr.FOX』
を観に行った際、この作品の予告編が流れて興味に惹かれ、今週末シネ・
リーブル梅田にて観賞。
水彩画のような美しくノスタルジックな映像世界が素晴らしく、そして
水鳥が川面を飛び出すときにおきる水しぶきなど、細かい描写も丁寧に
描かれている映像に最後まで引き込まれました。
また、サイレント映画かと思ってしまうほどセリフを最小限までそぎ落とし、
さらに登場人物のアップの画を一切容れず、ある程度引いた映像で最後まで
魅せる手法は印象的でした。
時代が変わりつつある中、もはや時代遅れになりつつあるタチシェフの
手品を魔法と思い、その魔法を操るタチシェフを魔法使いと思いこんだ
アリスの純粋さと、その純粋さゆえに遠慮や経済観念もなくただただ
目の前に広がる目新しいものに目を奪われて、それをタチチェフに
ねだってしまう。
そんなアリスに対してタチシェフは無償の愛とでもいうかのように
アリスの願いを叶えていく。もちろん手品の仕事だけではきついので
自動車整備工場やデパートで手品をしつつ商品を紹介するような自分の
手品を安売りするような仕事をしてまでお金を稼ごうとする。
タチシェフがそこまでする理由が最後に解るんですが、彼は彼でアリスに
自分の娘の面影を投影することで、娘にしてやれなかったことをアリスに
することで満足していたんではないかと感じた。
そしてそんな二人だったが、アリスが近所に住む青年と恋に落ち、二人で
いるところをタチシェフは目撃してしまう。
そこでタチシェフは自分がアリスから去る時期が来たことを悟り、ひっそり
と去っていくんですが、その姿と佇まいに何ともいえぬ哀愁が感じられ
切ない気持で一杯になりました。

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なんだかよくわからないのですが、じわっといい感じにさせてもらいました。
コメントありがとうございます。
日本のアニメとは違う描画とほぼサイレントなところが何とも言えぬ、心にじわっと沁みこんでくる作品でしたね。