治安の悪い公営団地で一人暮らしの老人が、親友を殺されたのを機に
団地内で好き勝手している不良どもに復讐を行うヴィジランテ映画で
本国イギリスでは多数の賞を受賞・ノミネートした作品。
主演は『インセプション』『スルース』のマイケル・ケイン。
共演には、『ピンクパンサー2』『シャッターアイランド』のエミリー・
モーティマー、『バイオハザード3』のイアン・グレン。
かつて海兵隊隊員として北アイルランドに駐留経験のあるハリー・ブラウン。
退役して年老いた彼は、公営団地に一人でひっそりと暮らしながら、入院中の
妻を見舞い、最後の親友レナードとパブでチェスをする静かな毎日。
しかし彼の周辺はドラッグの売人やギャング団の抗争が相次ぐ地区。
ある日妻の危篤の知らせを受けたハリーは妻の最後を看取れず、さらに
ギャング団に嫌がらせを受けていたレナードが惨殺されてしまう。
しかし警察はギャング団のメンバーを逮捕するもののレナードが武器をもって
襲いかかってきたと正当防衛を主張し、現場にあった武器もレナードの
所有物であったために殺人罪での起訴が難しくなる。
法で裁けないのなら自分が復讐するまでとハリーは決意する。
タイトルに『狼』が入っていたので、ヴィジランテ映画だろうと思い
レンタルして観賞。
ヴィジランテ映画にありがちなストーリーでありながらも、
病気で入院している妻を見舞いながら残された人生の残り時間を静かに
暮らしていたハリーが妻と親友を失い、失意の中に居る中、ハリーが金を
持っていることに目をつけてカツアゲしてきたギャング団の一人をついつい
昔取った杵柄でうっかり殺してしまうことで、ハリーの中で何かが弾けて
復讐へと至る過程をマイケル・ケインの重厚で渋い演技で魅せてくれます。
また出だしからずっとギャング団がいかに公営団地近辺の治安を悪くして
いるか描いているので、ハリーが復讐を始めると観ているこっちはついつい
ハリーに対して感情移入してしまい、彼の復讐劇にハラハラしてしまう。
もと海兵隊隊員なので年を取って動きが緩慢になっても、体に覚え込ませた
銃撃や捕虜への拷問などは衰えることなく発揮され観ていて痛快。
でもそんなハリーだけども年老いているという弱点があり、逃げ出した
相手を追いかけても離される一方だし、しまいには肺気腫で倒れてしまうし、
ラストも肺気腫のせいでピンチに見舞われ、このまま殺られてしまうのでは
ないかとハラハラさせられる。

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