2010年/ボスニア・ヘルツェゴビナ・オーストリア・ドイツ・クロアチア
35mm-カラー100分
ボスニア語(日本語字幕)
監督:ヤスミラ・ジュバニッチ
出演:ズリンカ・ツヴィッテシッチ
レオン・ルチェフ
* * * * * * * *
複雑な東欧社会に揺るがされるひとつの愛の行方
カップルのルナとアマルは二人の関係を揺るがす出来事に見舞われる。
始まりはアマルが仕事中に酒を飲み、停職処分になったことだった。
また子どもが欲しいと願って2年が過ぎ、人工授精に進むべきか、決断を
迫られていた。ある日、アマルが厳格なイスラム教集団での仕事を引き
受けたとき、ルナの不安は大きくなっていく。アマルは遠く離れた湖畔へ
と旅立ち、連絡は途絶えた。ようやく彼を訪ねることを許されたルナは、
そこで男女が隔離され、厳しい規律のもとで信仰に従事する生活を目の
当たりにする。やがてアマルが帰宅したとき、ルナは彼があまりにも
変わってしまったことに気づく。彼はただより善い人になりたいのだと
言うが、ルナはついて行けず、溝が深まるのを感じるだけだった。
彼女はこれまで信じてきたこと、子どもを望んだことにさえ疑問を抱く
ようになる。戦争の悲惨な過去がたびたびよみがえり、ルナは二人を
結びつけ、幸せな生涯をともにできるほどの愛があるのかどうか自問
するのだった。
(第17回大阪ヨーロッパ映画祭公式パンフより抜粋)
『サラエボの花』のヤスミラ・ジュバニッチの作品ということと、
これまた公式HPの画像の印象から興味惹かれて観ることに。
サラエボの街並みは昔、ニュース映像で観たことのある荒廃ぶりからはか
なり復興してますが、そこに暮らす人々には未だ戦争で受けた大きな傷痕が
残っている現状に戦争の悲惨さが伝わってきます。
特にアマルの心に刻み込まれた戦争による傷がアルコールへの依存になり、
やがて信仰に心の拠り所を見つけようとする様は理解できる。
でも自分で信仰する分はどうでもええけど、それを他人に強要するのは
いただけないな。
一方のルナのように心に傷痕を持っていながらも、強く前を向いていこうと
する人間にとってアマルのような態度は後ろ向きに写って、ついて行けない
と思う気持ちになるのも理解できる。
改めて宗教や戦争や平和について考えされられる作品でしたし、
最後にCAとして飛行機に搭乗する前のルナが振り返って見せる笑顔が
未来を感じられるラストで良かった。
なお本作は、2011年2月19日から東京の岩波ホールほかでの公開が決まって
ます。

クリックして下さった方、ありがとうございます。
繊細な描き方が、うまかったです。
ちゃらんぽらんでHで仕事も半端だけど自由な精神と、厳格で真面目で融通の利かない信仰にいきるのと、どっちを選らぶ?と言われると、・・・難しいけど、前者かなあ。
人に強要しちゃいけないですけど、妻ですからね。
その辺の微妙な気持ちの表し方も秀逸でした。
こんばんは。
コメントありがとうございます。
とても良い映画でしたね。
二人の気持ちのすれ違いの微妙な様が
丁寧に描かれていたと思います。