十三人の刺客

1963年に公開された工藤栄一監督の傑作時代劇『十三人の刺客』を『ヤッタ
ーマン』の三池崇史監督がリメイクしたエンターテインメント時代劇。
将軍の弟ということでやりたい放題の凶悪な暴君を暗殺するために、集めら
れた13人の刺客達が、暴君を守る300人以上の藩士を相手に一世一代の
壮絶な戦いを挑む姿を描く。
主演は『パコと魔法の絵本』『THE有頂天ホテル』の役所広司。
共演には松方弘樹、平幹二朗、松本幸四郎、市村正親、岸辺一徳、古田新太、
沢村一樹、伊原剛志、光石研、山田孝之、稲垣吾朗、伊勢谷友介など豪華
キャスト陣が脇を固める。

　　　　*　*　*　*　*　*　*　*

江戸時代末期、12代将軍・徳川家慶の弟で明石藩主・松平斉韶は暴君で
罪もない領民をなぶり殺したり、参勤交代時に宿泊した陣屋で、他藩の
藩士の妻を犯したり、その夫を殺害したりと将軍の弟ということでやりたい
放題であった。そんな折、明石藩の江戸家老・間宮は斉韶の暴虐を訴える
ため老中・土井大炊頭利位の屋敷前で切腹する。
しかし将軍家慶は翌年、弟を老中に起用することにしていたために、弟を
庇い、この件を不問にする。面目を失った土井はこのまま斉韶を老中に
してしまうと、幕府存亡の危機に関わると考え、御目付の島田新左衛門に
斉韶の暗殺の命じる。新左衛門は早速、御徒目付組頭の倉永左平太や、
御小人目付組頭の三橋軍次郎らと諮り、腕の立つ男達を集める。
総勢12名となった新左衛門ら刺客達は、斉韶を参勤交代で領地へ帰る道中を
襲おうと入念に策を練っていく。
一方、明石藩御用人で、新左衛門と同門だった鬼頭半兵衛は土井の屋敷に
新左衛門が訪れていることを知り、斉韶を暗殺する動きがあることを察知
する。半兵衛は暴君とはいえ、主君に仕える侍として最後まで斉韶を
守り抜くために準備を進め始める・・・。

　　　　*　*　*　*　*　*　*　*

キャスティングに惹かれたのと、三池監督なのでどういう時代劇になるの
かちょっと気になったので、観に行くことに。

これは結構面白くて見応えあった。

この手の少人数で大多数で挑む話だと、ほとんどの仲間が死に絶えるのが
王道パターンで誰が生き残るのかなと思っていたら、予想通りの人が
生き残った。でもあいつが生き残るのどうなんだろ？
明らかに首に小太刀刺さってたはず。あれで生きてるって何者！？

で、一番の見どころは、岸辺一徳のアァーーーーーーーーーーッ！な
シーンじゃなくて、ラストの宿場町での13人対300人以上の斬り合いです。
この宿場町での決闘シーンはホントに見応えあって、引きこまれました。

でも単純にもっと数を減らしてから白兵戦に持ち込めばいいのにと、
まだまだ矢や火薬が残ってるなら、それらを使い果たしてから切り込めば
いいのにと思ったものの、あんまり数を減らすとクライマックスの
斬り合いが面白くなくなるから仕方ないのかな。
斬っても斬ってもワラワラと藩士が湧き出てくる様はなんかバイオハザード
っぽかった。
宿場町での決闘と言えば上戸彩の『あずみ』の100人斬りがあったけど、
あれはあれで面白かったけど、こちらの方がはるかに見応えあった。

個人的には島田新左衛門側よりも鬼頭半兵衛目線で観ていて、暴君とは言え
一度仕えた以上、侍として最後まで忠義を尽くすその生き様は最高やった。

それにしても松方弘樹、平幹二朗、松本幸四郎、市村正親らのベテラン陣の
演技は相変わらず渋い。特に松方弘樹の殺陣なんて、それだけで絵になる。

クリックして下さった方、ありがとうございます。

Comments

迫力ありました。

私は行灯やロウソクの暗さに関心。
撮影は大変だったろうなと余計なことまで考えてしまいました。

江戸時代の白塗り化粧については、少し前にＴＶで「当時の暗い灯りの下ではっきりと見える化粧」てなことを聞いていたので吹石一恵の化粧にも関心しました。

あれは亡霊だったのかもしれません。
小太刀もそうだけど、腹を切られてました。
切れてはなかったけど、、、。

Posted by KGR at 2010年09月27日 06:25

＞KGRさん
コメントありがとうございます。

三池監督らしさが詰まった時代劇でしたね。
面白かったです。

やっぱあれは亡霊なんですかね。
私も観てる時に首の傷が見受けられないので
亡霊のたぐいかなと思ってたりしてたんです
が、あんまり亡霊のたぐいって分かるような
描写じゃなかったし、そのまま普通に分かれて
歩いてフェードアウトしていったんで、亡霊
じゃなかったのかな？なんて思ってたり
してました。

Posted by はくじ at 2010年09月28日 00:42

見ごたえありましたね。
もうやれるだけやったぞおお！！という気概が感じられました。
あの撮影の場所に行ってきましたが、少々痕跡はありましたよ。
若い方々もがんばっておられましたが、やっぱ松方さんとか、松本幸四郎さんとかの存在感がよかったですよねえ。
その辺の俳優さんの使い方も、うまかったなあと思いましたわ。

Posted by sakurai at 2010年10月02日 21:16

＞sakuraiさん
コメントありがとうございます。

三池監督作でしたので、どんな時代劇になる
のか期待と不安が入り混じった状態で観に行った
んですが、これは見応えあって良かったです。
時代劇常連のベテラン勢の存在感が最高でしたね。
彼らがしっかりと魅せてくれるので安心して
観てられますね。

Posted by はくじ at 2010年10月03日 11:59

こんにちは。

市村さん出演が鑑賞を決めた一因であった私にとっては、悪の側なのに悪に染まりそうで染まりきらない武士道を生きる鬼頭に、うるっとなり、そ
んな、おもいっきり、蹴飛ばさなくても。。。と本気で思いました。
仕える相手によって左右される武士の悲哀を感じさせてもらいました。

戦いの場面、本当に見応えたっぷりでした。

Posted by みぃみ at 2010年10月11日 14:08

＞みぃみさん
コメントありがとうございます。

市村さんの演技は良かったですね。
武士は二君にまみえずの通り、主君が悪いのを
分かっていながらも、侍の本分を通すために
己の出来ることを精一杯やりとおす姿は
観ていてグッときますね。

ほんとに見応えあってよかったです。

Posted by はくじ at 2010年10月11日 23:46