悪人

芥川賞作家・吉田修一の同名ベストセラーを「涙そうそう」の妻夫木聡と
「博士の愛した数式」の深津絵里主演で映画化したヒューマン・ミステリー・
ドラマ。長崎の漁村で孤独な人生を送り、ふとしたことから殺人者となって
しまった不器用な青年と、そんな男と孤独の中で出会い許されぬ愛に溺れた
女が繰り広げる出口のない逃避行の顛末を、事件によって運命を狂わされた
被害者、加害者それぞれを取り巻く人々の人間模様とともに綴る。
共演は満島ひかり、岡田将生、樹木希林、柄本明。
監督は「フラガール」の李相日。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(allcinema ONLINEさんより抜粋)
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長崎のさびれた漁村に生まれ、自分勝手な母に代わり、引き取られた
祖父母に育てられた青年、清水祐一。現在は、土木作業員として働き、
年老いた祖父母を面倒見るだけの孤独な日々を送っていた。そんなある日、
出会い系サイトで知り合った福岡の保険外交員・石橋佳乃を殺害して
しまった祐一。ところが、捜査線上に浮上してきたのは福岡の裕福な
イケメン大学生・増尾圭吾だった。苦悩と恐怖を押し隠し、いつもと
変わらぬ生活を送る祐一のもとに、一通のメールが届く。
それは、かつて出会い系サイトを通じてメールのやり取りをしたことのある
佐賀の女性・馬込光代からのものだった。紳士服量販店に勤め、
アパートで妹と２人暮らしの彼女もまた、孤独に押しつぶされそうな毎日を
送っていた。そして、話し相手を求めて祐一に久々のメールを送った光代。
やがて、初めて直接会うことを約束した２人だったが…。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(allcinema ONLINEさんより抜粋)

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先週観に行く予定でしたが、歯痛などで予定が狂い、今日観に行くことに。

139分とちょっと長めの作品でしたが、見応えあって最後までだれること
なく観れました。でも暗くて重い。

悪人ってタイトルはストレートなだけにいろいろと考えさせられる。
祐一はもちろんのこと、佳乃も悪人だし、増尾も悪人だし、自首する気で
いた祐一を逃避行に誘いこんだ光代も悪人。真相を報道するという使命で
相手の人権や迷惑を一切省みないマスコミも大悪人。み〜んな悪人。

でも関わる人や立場を変えれば彼らも善人。
佳乃が援交してる事実を知らない佳乃の両親からしたら、佳乃は善人だし、
増尾の友達から見ると、尻軽の女に言い寄られてあげくに殺人事件に巻き込
まれた増尾は善人とは言わなくても悪人ではないし。
祐一だって、佳乃が祐一に拉致監禁でレイプされたなんて嘘をでっちあげて
祐一を陥れようとしなければ、祐一は近所の老人を病院まで送り迎えする
善人だったはず。
立場やその時の状況によって善人にもなれば悪人にもなるし、表裏あるのが
人だろうと思う。

とは言え、感情の上では祐一が佳乃を殺したのは仕方なくね？って言いたい
気持ちもあるけど法治国家である以上、祐一のしたことは決して許される
ことじゃない。人や立場によって善悪の判断があいまいになるから法律が
あるのだし、それを犯したものは誰であろうと刑罰を与えないといけないと
思う。

それにしても樹木希林の演技は凄いなぁ。深津絵里が第34回モントリオール
世界映画祭で最優秀女優賞を受賞したけど、個人的には深津絵里より、
樹木希林のほうが凄かったと思う。

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Comments

それぞれの立場によって、いろんな見方があるし、ちょっとすれ違いや、ずれと自分勝手な思い込みで、運命など簡単に変わってしまう。
そんな軽そうに見える人生の重みがずしりと伝わってきました。
映画と役者の力を感じさせてもらった一本でした。
希林ばあさんは、本当にすばらしかったですね。
表情なんか、ほとんど変えないのに、内面のものがぐわーーと伝わってくる。見事でした。
あのじいちゃんは、近所のじいちゃんじゃなくて、自分のじいちゃんだと思いましたが。

Posted by sakurai at 2010年09月19日 09:24

＞sakuraiさん
コメントありがとうございます。

いろいろと考えさせられる一本でした。
樹木希林の演技は本当に凄みがありました。
他の役者さんも良かったですね。

作中に出てくるのは祖父でしたが、祐一が
働いている解体業の社長のセリフで近所の年寄り連中の送迎もしてるようじゃないかって言って
いるのがあって、そこで祐一は見た目がアレでも
性根は優しい人物なんだってことを表現している
んだって感じました。

Posted by はくじ at 2010年09月19日 11:13