東京島

直木賞作家・桐野夏生の同名ベストセラーを原作に、無人島に漂着した
数十人の男と女1人が織りなすサバイバル生活の行方を描いた人間ドラマ。
40代の主婦が自分が唯一の女性であるという状況を武器に困難な状況に
立ち向かいつつ、島での人間関係がいろいろと変わっていく様を描く。
ヒロインには『ぐるりのこと。』の木村多江。男達には、窪塚洋介、柄本祐
など。監督は『0093 女王陛下の草刈正雄』やTVドラマ『ケータイ刑事 銭形
零』などの篠崎誠。

主婦の清子は結婚20周年記念で夫と出かけた世界クルーズで嵐に遭い、夫と
二人で無人島に漂着する。夫が全く役に立たない中、清子は意外にもサバイ
バル生活に順応していく。そんな中、与那国島でのキツいバイトに嫌気が
さして船で逃げ出した16人の若い日本人が遭難して、清子のいる無人島に
漂着する。彼らはこの島を東京島と名付けて共同生活を始める。
そんなある日、清子の夫が崖から転落死してしまう。1人になった清子だった
が、やがて男達のリーダー格のカスカベの女となり、他の男達からも
チヤホヤされる。まんざらでもない清子だったが、そんな中、今度は数名の
中国人達が東京島に漂着してくる。そして中国人が漂着して間もなくカスカベ
が崖から転落死している姿が発見される・・・。

これ、太平洋戦争中に実際に起きたアナタハンの女王事件がベースになって
いて、女性一人を巡って男達が疑心暗鬼に陥って殺し合うような内容なのか
なぁとちょっと期待してました。

でもなんかちょっと拍子抜けというか、あんまサバイバル感が感じられなく
て、微妙に住めば都感があって、このままここで充分暮らせていける感じが
なんだかなぁと思ってしまった。
だけど、充分に食糧ないと目のまえに女性が裸でいても欲情しないかも
しれないから、食糧はいっぱい取れるという設定なのかな。

清子を巡っての男達の社会構成の変化が結構面白かった。
最初は腕っぷしの強い男が清子を独占。しかし清子を独占した男を妬んだ他の
男達の手によって殺害される事件が起きると、今度は期限付きで清子の夫を
立候補者からクジで選ぶという民主的なやり方をとったのは面白かった。
なんとなく日本人らしいお互いカドが立たないやり方だなぁと感じた。
これがアメリカ人ならどうするんだろうか。同じようなやり方を取るんだろう
か？

個人的にはラストの10年後の東京島の様子はともかく、日本に戻った清子の
くだりは必要なかったような気がする。

クリックして下さった方、ありがとうございます。

Comments

最後の日本の戻ってからの記述は原作にもあります。　ここはチキとチータのそれぞれの想いがある部分なので、結構なるほどと思った場面でした。

ただし映画ではそこのところがさら〜りと、あっさりと描かれちゃってましたね（苦笑）
こんなに薄められちゃったら、普通の親子にしか見えないもん。。。　笑

Posted by rose_chocolat at 2010年09月09日 04:58

＞rose_chocolatさん
コメントありがとうございます。

原作には、日本に戻ってからの記述があるんですね。原作は読んでないので知らなかったです。
ただ映画では特に必要とは思えない描かれ方だったので、だったらいらないかなぁと思いました。
機会があったら原作読んでみたいです。

Posted by はくじ at 2010年09月09日 23:23

こんちは。
はくじさんがご覧になってからだいぶ日がたってるけど、書かせてもらいます。

これ、原作読んでる者は見ちゃダメですね。

映画見て、つまらんかったなぁと思って、ちょっと考えました。よけいなことだと思いつつ、製作側はどういう狙いだったんだろう、と。

原作の道具立てだけ借りて、実にあっさり仕上げてありました。それと、女性客を取り込みたいという方針はあったのでしょう。
どぎつい場面を回避して小ぎれいに仕上げるとするなら、違うと思ってた主演・木村多江がわかる気がしてきます。

あれやこれや考えるうち、「リアルな危機感のなさ」ということが浮かびはしたんですが・・・。

ま、なんにしろ、これ、失敗してると思います。
見る者をスクリーンに引きつける力がないですもん。退屈してしまいましたから。

Posted by たかまるIC at 2010年09月11日 13:34

＞たかまるICさん
コメントありがとうございます。
原作を先に読むとちょっとアレなんですね。
私もなんか期待してたのと違ってちょっと
残念でした。

確かに無人島に長く住んでいるのに、妙に
清子が身につけているのは小奇麗だったり
、エルメスのスカーフが全然汚れてないのは
現実感なかったですね。

Posted by はくじ at 2010年09月14日 00:40