月に囚われた男

地球に必要なエネルギー源を採掘するために月の採掘基地にたった一人で
三年間駐留する男があるアクシデントに遭い、それ以降おきる不可解な
出来事に遭遇していくＳＦミステリー。
主演は『コンフェッション』『フロスト×ニクソン』のサム・ロックウェル。
監督はデヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズで、これが初監督作。

近未来の地球、あらかたの資源を取り尽くした地球はエネルギー源を月に
求める。月の資源を採掘し地球へ送るためにルナ産業が出来、ルナ産業との
契約で宇宙飛行士のサム・ベルが３年契約で月の採掘基地にたった一人で
駐在することに。仕事は採掘マシンが採掘したヘリウム３をポッドにつめて
地球へ射出するだけ。人工知能コンピュータを相棒に任期満了まであと
２週間という時、サムは基地の外で稼働している採掘マシンのところで
事故を起こし意識を失う。
意識を取り戻すとサムは基地の医療室だった。その後、事故現場に行った
サムはそこで意識をなくした人間を見つける。

これは良質なＳＦ。
これはほんとに良かった。面白くてたっぷり堪能しました。

500万の予算で、撮影期間は33日にもかかわらず、ここまで良質なＳＦを
作りあえた監督の手腕はすごい。
これが単館上映なんてもったいない。

一人しかいないはずの月で人が見つかるということで、なんかサスペンス的
な、エイリアンが出てくる系のものを期待していたんですが、そういうもの
ではなかったです。

月に長い期間、人を派遣するのは危険なので、クローンを送りこんで作業
させる。そのクローンになにかあっても替えがきくように多くのクローンを
冷凍保存しているという設定はなんか、派遣社員を安く使って、必要なく
なれば切り捨てて、また必要となれば派遣社員を安く求めるという、今の
日本の状態にすごく似てる感じがしました。

出てくる人物はサム・ロックウェルだけなので、ほぼ彼の一人芝居。
彼の好演が光ります。クローン同士でも微妙に性格や口調が違ったりして
いて良かったです。

＜キャストが少ない＞＜クローン＞＜宇宙＞から、観ながら及川光博主演の
『クローンは故郷をめざす』を思い出してしまった。こちらもクローンが
故郷を目指すというあたり、似たような作品で、映像のタッチなども
なんとなく似ていたような気がする。
『クローンは故郷をめざす』はイマイチ楽しめなかったんですが、こちらは
大いに楽しめた。

クリックして下さった方、ありがとうございます。

Comments

単館系のおかげで、こっちに来るまでこんだけの時間がかかりました。ふーー。
それでもこれはどうしても見たかったので、よしとしましう。
面白かったです。
金なんかかけなくても、面白い脚本と、いい役者と、丁寧さがあれば、いいもんが出来るっていう見本みたいですよね。
こういう良質な作品がまた見たいですね。

Posted by sakurai at 2010年09月20日 07:48

＞sakuraiさん
コメントありがとうございます。

地方はどうしても遅れてしまいますね。
東京の環境が羨ましいです。
ほんとこの映画は低予算でも素晴らしい映画が
作れるお手本ですね。
お金をつぎ込むだけつぎ込んで駄作を作って
しまう映画関係者は大いに見習ってほしいです。

Posted by はくじ at 2010年09月20日 16:53