夫を薬物中毒で亡くし、自分も薬物保持で収監され、一人息子の養育権を
失った母親が、息子と一緒に暮らせるように生まれ変わろうと奮闘する
様を描く。
監督は『夏時間の庭』のオリヴィエ・アサイヤスで、ヒロインを監督の元妻
であるマギー・チャン。彼女はこの作品で第57回カンヌ国際映画祭で
最優秀主演女優賞を受賞。共演に『屋敷女』のベアトリス・ダルなど。
ロックスターとして名を馳せてきたリーと、その妻で歌手として成功する
ことを夢見るエミリー。彼らの間にはジェイという幼い息子がいたが、
今はバンクーバーに住むリーの両親に育てられていた。
そんなある日の夜、モーテルでリーとケンカしたエミリーは、モーテルを
飛び出し車中で一夜を過ごす。朝になり、モーテルへ戻るとリーは薬物の
過剰摂取で死んでいた。その際、警官の制止を聞かずに暴れたエミリーは
警官に拘束され、所持品から薬物を見つけられてしまい、刑務所に収監
されることに。6ヶ月後、出所したエミリーは全てをリセットして人生を
やり直そうとかつて住んでいたパリへ向かう。しかし、その前に裁判所から
息子ジェイの養育権はリーの両親に移ってしまう。
パリで一からやり直して息子と一緒に生活しようと、エミリーは夢を
あきらめ、望まない仕事に就いて必死に這い上がろうとする。
出張先の都合で、今日は定時あがりになってしまって、『オーシャンズ』で
も観に行こうかと思っていたら、現地の映画館で本作が今週一杯まで上映中
だったので、大阪で見逃してしまったこともあり、『オーシャンズ』は
明日にして、今日は本作を観ることに。
う〜ん、全然エミリーに感情移入も同情も出来なかったです。
思い出したかのように子供と暮らしたいとか、歌手になる望みを捨てきれ
ないとか、まぁ都合のええ奴やなぁ〜と冷めた目で見てしまいました。
どんな仕事だろうが、やり直すと決めたのならしがみついてでもコツコツと
頑張るもんだと思うんですが、どうもその辺りの彼女の生き方に共感でき
なかったです。
だけどマギー・チャンの演技は苦悩する母親をうまく演じていたと思います
が、それ以上に義父役のニック・ノルティが素晴らしかった。
自分の年齢や、余命いくばくもない妻のことを考えると、孫の面倒をいつま
でも見てられないことを理解しており、それだけに母親であるエミリーが
立ち直ることに望みをかけている様は素晴らしかったです。
劇中で見たことある女優さんがいるなぁと思っていたら、『屋敷女』で
えげつないほど怖い女を演じていたベアトリス・ダルでした。
あの映画でのベアトリス・ダルは半端ない怖さで、あれは久しぶりに
怖いと感じたホラーでした。

クリックして下さった方、ありがとうございます。